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3周期目の「重大な決意」再表明を覚悟せよ
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【2006/12/10 04:59】 知的財産
2004年の著作権法改悪時から筆者のBLOGを読んでおられる方ならご記憶の方も多いかも知れないが、今から3年前──2003年12月17日の第6回知的財産戦略本部会合で日本における知的財産法の第一人者である東京大学の中山信弘教授が「重大な決意」を表明したことが年明けに公開された議事録で判明し内外に波紋を呼んだ。
あと1週間で中山先生の「重大な決意」表明から3年を迎えるに当たり、改めて全文を紹介する。 大学問題についてお話をするという話がございましたけれども、大学に関しましては、既に本会議で何回も申し上げております。今日はちょっと違うことですけれども、事務局の在り方について、余りにも独善的であるので、ちょっと異議を申し述べたいと思います。 私は本部員として、専門調査会でメンバーである必要はないのですが、オブザーバーとして意見を述べたいと申し上げておりましたけれども、一切拒否されております。その理由は官邸の意向であるということでございます。私、まさか総理の意向であるとは考えていないんですけれども、いずれにいたしましても、事務局にはまともに議論をしようという真摯な態度がどうも私には感じられません。 したがって、この報告書には私の意見は反映されておりません。こういうことでは、私は本部員を続けている意義はないと考えております。 1例を挙げるならば、先ほどから議論になっている知財高等裁判所でございますけれども、独立した知的財産高等裁判所という特別裁判所をつくるということは、職分管轄を始め、うかつにつくりますと、極めて使い勝手の悪い制度になるわけでございます。したがって、十分な議論をしなければいけない。今、議論をされておりますように、侵害まで扱うような特別裁判所につきましては、世界でも類を見ない新しい制度であります。 したがって、私はどうしても申し上げたいことはたくさんあります。単に知財だけではなくて、これは法務大臣おっしゃったとおり、司法制度・裁判制度全般に関わる問題で、幾らでも意見を申したいことはあるんですけれども、本部員として意見を述べることは、先ほど言いましたように、禁じられております。 私個人の意見が封じられるなら大した問題にないのですけれども、実は多くの弁護士や裁判官や研究者等々の、知財の専門家に対して議論をする場、あるいは議論をする時間が全く与えられていないということが最大の問題だと考えております。 今、行われているような世界に例を見ないような大きな知財改革を行うに際しまして、これほど短い時間で行うという例も私は知りません。 例えばアメリカにおきましては、数年をかけて、各界の議論を基にして、特許裁判所は弊害が大きいということで、特許裁判所に代わってCAFCをつくったという経緯がございます。 そもそも知財の改革というものは、大きな政治問題になるような性質のものではありません。要は裁判が迅速・的確に行われるとか、あるいは質を確保しつつ、迅速な特許審査が行われるか等々といったような非政治的な問題でありまして、これは学界を始め、多くのところで詳細な議論をしなければならない問題であると考えております。 世界中でも知財の改革というのはありますけれども、その結論は別といたしまして、学界とか法曹界において、多くの徹底した議論がなされて、その議論の後を後世に残す。それが世界の知的な資産になっているわけであります。 仮に今の改革ができたといたしましても、現実に裁判等々を運営していく知財の専門家から、これほどまでの怨嗟の的になっていて、果たして実効性のある改革ができるかという点を私は非常に危惧しております。 5月にこの本部会でも申し上げましたけれども、事務局はあくまでも本部の事務局でありまして、事務局自体が特定の見解、特定の案に固執するとか、特定の本部員を排除して、政治家や財界のトップと話しをつけて決着をするというたぐいのものではないと私は考えております。 時間の関係でこれ以上詳しいことは申し上げませんけれども、とにかく急ぐだけが能ではないわけでありまして、各界に十分議論をする機会と時間というものを与えてほしいと思います。 私にとって、先ほど言いましたように発言の機会は今日しかないわけであります。したがいまして、私としていたしましては、重大な決意を持って申し上げているわけでありまして、総理としても、重みを持って受け止めてもらえれば幸いでございます。 以上です。 この時は事務局のスタンドプレイに矛先が向けられていた訳であるが、まだ十分とは言い難いものの当初は「知財ファシズム」などと形容されることも珍しくなかった知財推進計画も3度の改訂を経てかなり洗練を重ねて来たと言える。しかし、今年の推進計画改訂以降に顕著化している様々な動向は、あたかもここまでの3周を同じ回数だけ逆走するベクトルに向いているのではないかと言う危機感を表せざるを得ないものばかりが目立つようになっている。
筆者は来週に開かれるはずの、そして安倍晋三内閣総理大臣が本部長に就任してから初めて招集される本部会合で、中山先生が再び「重大な決意」を表明するのではないかと心底から不安を抱いている。そして、それを表明させるまでに事態を決定的に悪化させる「火付け役」は、今度は事務局ではなく特定の閣僚ではないかとも。
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