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戦時加算の基礎知識
【2006/11/13 21:20】 著作権延長問題
 一昨年2月、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会が「著作権法に関する今後の検討課題」を決定した際、各団体の要望事項で単独の要求とはされていなかったにも関わらず「保護期間の見直し」と併せて「戦時加算の廃止」が明記された。その背景には、JASRACが戦時加算は不平等条約の最たるものだと一貫して主張し続けている事情が大きいが、8日の記者会見では福井健策弁護士が「A(著作権延長)を与えるからB(戦時加算)は返してくれ、と言うのは交渉術としては最悪の手法」と述べたように、そうでなくとも国内法だけの問題ではなくサンフランシスコ講和条約を締結した12ヶ国(後述)全てと条約改正の手続きを全て(日本と相手国の全ての政府・議会による批准を経て)クリアすると言うのは相手の有ることなので日本の一存だけでどうこう出来るものではない。

*連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律(e-gov)
*戦時加算 (著作権法)(Wikipedia日本語版)

 まず、戦時加算の対象国は以下の15ヶ国(以下、特に注記の無い限りWikipedia日本語版に基づく)。プラスで示しているのは最大日数で、対象国との交戦中(例えば、1945年)に公表された著作物の場合はそれ以前の日数(年単位に満たない場合は切り上げ)を引いて計算。

*米国・英国・豪州・カナダ・NZ・フランス・パキスタン・スリランカ(1942.12.8 - 1952.4.28) +3794日
*ブラジル(1942.12.8 - 1952.5.10) +3816日
*オランダ(1942.12.8 - 1952.6.17) +3844日
*ノルウェー(1942.12.8 - 1952.6.19) +3846日
*ベルギー(1942.12.8 - 1952.8.22) +3910日
*南アフリカ(1942.12.8 - 1952.9.10) +3929日
*ギリシャ(1942.12.8 - 1953.5.19) +4180日
*レバノン(1942.12.8 - 1954.1.7) +4413日
 ちなみに2006年11月1日現在、各国内の著作権保護期間はカナダ・ニュージーランド・パキスタン・スリランカ・南アフリカ・レバノンが50年でそれ以外は70年(フランスの愛国殉職者規定適用者は100年、米国で没年が1978年以前の著作者の個人著作物はほとんどが95年)。つまり、カナダなど6ヶ国には著作権法第58条の相互主義規定により戦時加算を廃止されても日本からは何も与える物が無いし、現在でも戦時加算対象期間の後に公表(例えば、カナダで1953年から55年に公開)された映画著作物は日本国内の規定如何に関わらず日本国内でも対象国でも既にパブリックドメインである。要するに、サンフランシスコ講和条約の後で公表された著作物には何の関係も無いし、本国では様々な優遇措置が取られている「ピーター・パン」や「星の王子さま」が日本国内では最近10年でPD化したのを見れば明らかなように、このまま戦時加算が存続した場合でも講和条約60周年の2012年前後が山場で、それ以降は現在に比べれば考慮の必要性がほとんど無くなることもまた事実である。

※11月24日に解説文一部訂正

atsushienoさんが
いずれ、長すぎる著作権の保護期間を短縮することになるでしょうが、その時にも通用する手段として、経過措置をおくことができます。本当に必要・適切なのでなければ、経過措置も置くべきではありませんが。
9月24日のエントリで書いておられますが、要は「昭和初期の日本なんて知財大国じゃないから意味ないよ」と言うことに尽きるかと。


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